みなさんこんにちは。前回、日本の「食」について少しお伝えしました。今回は「飲み物」を切り口に、日本の暮らしについてご紹介したいと思います。

まずは日本のとあることわざをご紹介:「湯水のようにお金を使う。」これは、「大事に使う」という意味ではなく、日本では「豪快に無駄遣いをする」という意味になります。前々回にご紹介した、日本の気候・地理を覚えていますか?日本は1年中季節風の影響を強く受け、また国土の60%以上が森林です。つまり、世界的にも年間降水量は多く(世界平均は約900mm、日本は約1700mm、イギリスは約1200mm*)、その豊富な雨水を豊かな森林が受け止めて洪水を抑え、雨水を蓄え、その水質も浄化できる環境にあるということです。事実、日本は水道水が飲料可能な世界の15カ国の内の1つです。(但し、最終的に口にする水道水は、各施設の水道タンクや水道管の品質にもよります。)ちなみに日本は多くの地域が軟水で、ロンドンの硬水とは水質がかなり異なります。もちろん水道水をわざわざ飲まなくても、日本ではペットボトルのミネラルウォーターがコンビニや道端の自動販売機で気軽に購入できます。

 

コンビニと自動販売機は、日本の暮らしを格段に便利にしているものの1つです。日本全国に自動販売機は約200万台、コンビニは約5万店舗もあります。(参考までに、UK内のTescoは約3400店、Sainsbury’sは約1400店、Waitroseは約350店、Asdaは約300店…これらを全部足した数の、実に約10倍ものコンビニがあるということになります!*)店内では目がくらくらするほど多くの商品が並んでいます。水、ジュース、ビール、お酒、お菓子に弁当に日用品に雑誌…。日本では多くのコンビニが、またほとんど全ての自動販売機が24時間営業です。深夜の街を歩けば、煌々と光るコンビニのライトがすぐ見つかります。これも、現段階での日本の治安の良さを表す光景でしょう。

日本を代表するお酒は日本酒です。最近はロンドンの街でも口にする機会が増えました。実際イギリスの日本酒輸入量はここ数年急上昇しています。日本酒は、白米、水、麹菌と酵母を原料とする発酵酒です。平均アルコール度数は15-17%、温めても、冷たくても飲むことができます。日本人の主食である米を主原料としており、ここでも日本の文化は米作りを中心に育まれてきたことがわかりますね。日本人は例えば結婚式や企業のパーティなどめでたい行事では、日本酒の入った樽のふたの部分を木づちで叩き割ります。また、古くから日本酒は神社へのお供え物として奉納され、祈願が済むと参列者でお酒をシェアする習慣もあります。「日本酒」の画像をネット検索してみると、明治神宮にある積み重なった奉献酒樽の画像によく出合うと思います。つまり日本酒はディナーに合わせるアルコールとしてだけではなく、めでたい席で皆と分かち合う物、また神へのお供え物として、日本人の暮らしの中に根付いてきました。

明治神宮は、東京で最大の神社であり、明治天皇と昭憲皇后を祀る神社です。ちなみに日本酒の樽が積み上げられた向かい側には、ブルゴーニュ産のワインの樽が積まれています。日本酒とワインが参道を挟んで向かい合っていますね。明治天皇は明治維新(前回ご紹介しました)において積極的に衣食住を西洋化され、中でもワインがお好きだったことから、ブルゴーニュの醸造所から寄進されるようになったものです。ちなみに、日本人が1番飲むお酒はビールが1位、そして2位の座を、日本酒とワインが奪い合っている状態です。

以上、少ないスペースでしたが、日本の飲み物を切り口に、日本文化の一端をご紹介しました。日本はイギリスからは遠い国ですが、思い切って1度ホリデーに訪れてみて下さい。そして五感を研ぎ澄まして、西欧とは異なる文脈を持った文化を、全身で体験して欲しいと思います。間もなく日本がホストを行うラグビーワールドカップも始まりますね。パブでラグビー観戦する方も、自宅でゆっくり過ごす方も、グラス片手にKANPAI! 

* データは全て2017-18年時点